自動車の名義人と損害賠償責任

投稿日:2016/8/25

車の名義人以外の者が運転をして交通事故を起こし相手方にけがをさせた場合、運転をしていた人は不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになりますが、車の名義人も不法行為に基づく損害賠償責任を負うのでしょうか。

民法の規定には、車の名義人(所有者)についての不法行為責任について明文規定がありません。そのため、車の名義人に対し民法上の不法行為責任を求めることは難しいかもしれません。しかし、交通事故に基づく損害賠償請求は、民法上の規定だけでなく、自賠法(自動車損害賠償法)の規定に基づく損害賠償請求もできます。自賠法は、交通事故の被害者を救済するために定められた法律です。自賠法の特色として、民法の不法行為責任に比べ責任主体を拡大できる余地があることです。また、被害者救済の観点から、車の運行をした加害者側が自動車の運行について注意を怠らなかったことなどを立証しないといけないといった点も特色といえます。

車の名義人と車を運転して事故を起こした人が別人の場合

そして、車の名義人と車を運転して事故を起こした人が別人の場合でも、車の名義人が自賠法に基づく損害賠償責任を負う場合があるとされています。判例の中には、子が自分のお金で自動車を購入し親名義で登録していたケースで、名義上の所有者である親の責任を認めた判例があるそうです。もっとも、自動車の名義人と当該自動車で交通事故を起こした者が異なる場合に、常に自動車の名義人が自賠法上の損害賠償責任を負うかという点については議論があるところです。少なくとも、車の名義人が自動車の運行に何らか関与している事情があれば、車の名義人に対して自賠法上の損害賠償責任を認めているのが一般的です。

このように、交通事故による損害賠償請求は、民法だけでなく自賠法も問題になる場合があります。また、責任主体の有無については判例・裁判例などをふまえて考える必要がありますから、弁護士に相談した方が、スムーズに問題解決できるのではないかと考えます。